○美郷町職員の懲戒処分に関する指針
平成27年9月17日
訓令第7号
(趣旨)
第1条 この訓令は、任命権者が地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条に規定する懲戒処分(以下「懲戒処分」という。)に付すべきものと判断した事案について、代表的な事例を選び、職員の懲戒処分を厳正かつ公平に行うため、標準的な処分量定に関する基準を定めるものとする。
(懲戒処分の種類)
第2条 懲戒処分の種類は、次に掲げるものとする。
(1) 免職 勤務関係から排除する処分
(2) 停職 1日以上6月以下の間、職務に従事させない処分
(3) 減給 1日以上6月以下の間、給料の月額の10分の1以下に相当する額を給与から減ずる処分
(4) 戒告 非違行為に係る責任を確認させ、その将来を戒める処分
(指導上の措置)
第3条 非違行為の程度は懲戒処分に相当しないが、職員の非違行為に対してその責任を確認させ、将来を戒め、又は注意する必要があると認められるときは、次に掲げる指導上の措置を行う。
(1) 訓告 任命権者名で文書により行う注意
(2) 厳重注意 任命権者名で文書により行う注意
(3) 口頭注意 所属長が口頭により行う注意
(1) 非違行為の動機、態様及び結果
(2) 故意、過失その他非違行為実行時における当該非違行為を行った職員の責任の度合い
(3) 非違行為を行った職員の職責及び職責と非違行為との関係
(4) 他の職員及び社会に与える影響
(5) 日常の勤務態度及び過去の非違行為の有無
(6) 非違行為後の対応
(標準例)
第5条 一般服務関係において職員が非違行為を行った場合の標準的な処分量定は、次の各号に定めるところによる。
(1) 欠勤
ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
(2) 遅刻・早退 勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。
(3) 休暇の虚偽申請 病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。
(4) 勤務態度不良 勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(5) 職場内秩序を乱す行為
ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。
イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 虚偽報告 事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。
(7) 違法な職員団体活動
ア 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は職場の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、唆し、若しくはあおった職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。
(8) 秘密漏えい 職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。
(9) 政治的目的を有する文書の配布 政治的目的を有する文書を配布した職員は、戒告とする。
(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠 営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。
(11) 入札談合等に関与する行為 入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。
(12) 個人の秘密情報の目的外収集 その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。
(13) 収賄 賄賂を収受した職員は、免職又は停職とする。
(14) 不適正な事務処理 その職務に関して法令違反等により不適正な事務処理を行い、公務の運営に重大な支障を与え、又は町民等に重大な損害を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。
(15) セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。
イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合において、わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。
(注) 処分を行う際には、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮のうえ判断するものとする。
(16) パワー・ハラスメント(職務上の地位や人間関係等の職場内の優位性を背景にして、本来の業務の範ちゅうを超えて継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く環境を悪化させ、雇用不安を与える行為)
ア 職務上の地位や人間関係等の職場内の優位性を背景にして、相手の意に反して、就業後の飲食や休日の娯楽等への付き合いの強要、仕事上の過度の能力否定、過度の責任・失敗追及及び性格・人格を否定する行為をした職員は、停職又は減給とする。
イ アの場合において、パワー・ハラスメントを執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
第6条 公金及び官物の取扱いに関連して、職員が非違行為を行った場合の標準的な処分量定は、次の各号に定めるところによる。
(1) 横領 公金又は官物を横領した職員は、免職とする。
(2) 窃取 公金又は官物を窃取した職員は、免職とする。
(3) 詐取 人を欺いて公金又は官物を交付させた職員は、免職とする。
(4) 紛失 公金又は官物を紛失した職員は、戒告とする。
(5) 盗難 重大な過失により公金又は官物の盗難に遭った職員は、戒告とする。
(6) 官物損壊 故意に職場において官物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 失火 過失により職場において官物の出火を引き起こした職員は、戒告とする。
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給 故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。
(9) 公金官物処理不適正 自己保管中の公金の流用等公金又は官物の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。
(10) コンピュータの不適正使用 職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(11) 不正アクセス行為等
ア 他人のパスワードを使用し、又はコンピュータ・システムにおける安全上の不備を利用して不正にネットワークにアクセスした職員は、停職又は減給とする。この場合において、システム又は情報資産等の破壊若しくは改ざんを行い又は情報を漏らした職員は、免職又は停職とする。
イ ネットワーク管理者又はパスワードを付与されている利用権者のパスワードを第三者に提供した職員は、停職又は減給とする。
ウ 故意にウイルス又は不正なプログラム等を利用してシステム又は情報資産等を破壊させた職員は、免職又は停職とする。
エ 故意にウイルス又は不正プログラム等を利用してネットワークの適正な運用を妨げた職員は、停職又は減給とする。
第7条 公務外において、職員が非違行為を行った場合の標準的な処分量定は、次の各号に定めるところによる。
(1) 放火 放火をした職員は、免職とする。
(2) 殺人 人を殺した職員は、免職とする。
(3) 傷害 人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。
(4) 暴行・けんか 暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。
(5) 器物損壊 故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 横領 自己の占有する他人の物(公金及び官物を除く。)を横領した職員は、免職又は停職とする。
(7) 窃盗・強盗
ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。
(8) 詐欺・恐喝 人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。
(9) 賭博
ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。
(10) 麻薬・覚せい剤等の所持又は使用 麻薬・覚せい剤等を所持し、又は使用した職員は、免職とする。
(11) 酩酊による粗野な言動等 酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。
(12) 淫行 18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。
(13) 痴漢行為 公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。
第8条 職員が交通事故を起こした場合及び交通法規違反を行った場合の標準的な処分量定は、次の各号に定めるところによる。
(1) 飲酒運転
ア 酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする。この場合において、人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職とする。
イ 酒気帯び運転をした職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において、人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職(事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職)とする。
ウ 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し、若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。
(2) 飲酒運転以外での人身事故を伴う交通事故
ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において、措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。
イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において、措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(3) 飲酒運転以外の交通法規違反 著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において、物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(4) 飲酒自転車運転での交通事故 飲酒自転車運転での交通事故を起こした職員は、免職、停職、減給又は開国とする。
2 処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。
(所属長の責務)
第9条 所属長は、常に所属職員の行動の把握に努め、所属職員が非違行為を現に行い、又は行ったことが明らかであると判断した場合は、遅滞なくその旨を総務課長に報告するものとする。
(指揮監督する者の責任)
第10条 部下職員が非違行為を行った場合の管理監督責任に関する標準的な処分量定は、次に定めるところによる。
(1) 所属職員の非違行為を了知したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又はこれを黙認した職員は、停職又は減給とする。
(2) 所属職員が懲戒処分を受けることに関し、指揮監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。
(関係職員の懲戒処分)
第11条 職員の懲戒処分を行った場合において、当該職員以外の職員が次のいずれかに該当するときは、当該関係職員に対しても懲戒処分を行うものとする。
(1) 非違行為をした職員に対し、当該非違行為にかかる事項を教唆し、又は当該非違行為を幇助したと認められる場合
(2) 職員の非違行為を了知していたにもかかわらず、これを黙認し、又は当該職員とともに非違行為の全部又は一部を行った場合
(懲戒処分等の公表)
第12条 懲戒処分等を行った場合は、次のとおり公表を行うものとする。
(1) 公表の対象とする懲戒処分等
ア 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分
イ 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職の懲戒処分
ウ 懲戒処分を受けた職員の管理監督責任に係る監督、指導上の措置
(2) 公表の内容
ア 所属
イ 管理職員又は一般職員の別
ウ 処分内容
エ 処分理由(事案の概要)
オ 処分年月日
(3) 公表の例外
ア 被害者又はその関係者のプライバシー等の権利利益を侵害するおそれがある場合又は職員個人が特定されるおそれがある場合等は、公表の内容の全部又は一部を公表しないことができる。
イ 収賄等非違行為の内容が重大である場合で、職員の所属や氏名が公にされている等社会的影響が大きい場合は、氏名等も公表する。
(4) 公表の時期及び方法 懲戒処分等を行った後、速やかに美郷町人事行政の運営等の状況の公表に関する条例(平成17年美郷町条例第3号)第4条の規定に基づき、懲戒処分等の状況を公表する。
附則
(施行期日)
1 この訓令は、公布の日から施行する。
(美郷町交通事故を起こした職員に対する懲戒処分等の基準の廃止)
2 美郷町交通事故を起こした職員に対する懲戒処分等の基準(平成16年美郷町訓令第26号)は、廃止する。